2013年4月10日水曜日

もやしもん 12巻を読んで

青春だなあと思ってなんかこう甘酸っぱいものが…
と言うオッサン臭いことは置いといて。


西野さんことキレデレJKが思い悩み、主人公たちが一緒になって悩む


「大人になる」


と言う事について。
今日一日なんとなく考えてみたんだけど、僕の考える結論はこうだ。


大人になると言う事は、子供でいる事を諦める事


それはそれ単体では良い事でも悪い事でも無いんじゃないかな。




まず、人間の成長について以下のように考えた。



  • 赤ちゃんの頃は、まだ何も考えない時期。
  • 保育園や幼稚園では、良い事悪い事の区別も分からない時期。
  • 小学生は、理由を追求する事なく大人の言う事に従う時期。
  • 中学生は、理由も分からず大人の言う事に反発したくなるが、行動で飛び出す事ができない時期。
  • 高校生は、自らの意思で何かを行動できるようになり、それが楽しくて何も考えず行動する時期。
  • 大学生は、自由が大きくなり「大人になった」と錯覚するのに、世の大人たちから「大人になれ」と否定されるが、そんな大人たちと今までよりも深く接する事で理解を深める時期。
  • 新社会人は、今度こそ大人になったと思いつつも、実は今までよりも自由が無くなり軽く絶望をする時期。
  • 社会人として幾年か経ち結婚をして子供が産まれた時…
    全ての面で子供でいる事を諦めなければならないと悟り「一人の大人であろう」と、そして自らの子供に対して「この子を立派なオトナに育てよう」と決意して初めて
    「大人になると言うこと」を理解する時期。



「大人になれ」

この言葉には、どうしても「今すぐ成長し、俺の言う事を正しく理解しろ」と言う意味が含まれているように感じてしまいがちだ。


しかし、そこには言外のあらゆる意図が篭められていると考えずにいられない。

子供に何かを教育・躾として叱ったりする時、反発してきた子供に事細かな背景事情やケースバイケースの具体例の説明、それら選択肢全てに及ぶ状況説明からその結果至る事象の網羅は不可能だ。



「君がまだ知らない事、考えはしても実感はした事が無い事、そういった物事が世の中には沢山ある。そしてそういった物事は君の予想を遥かに超えて大きくのしかかって来て、君を潰そうとしてくる。だから、それに備えなさい。」


と言う警告だと思っている。そしてそれとは別に、



「いつか年を経てお前が様々な経験をして振り返った(=大人になった)時、その時に思い返してそれでもまだ同じ気持ちでいられるならそれも一つの人生なんだろうな」と言う、自分は諦めてしまった「子供でいられる事」を今現在していられる子供に対する羨ましさ、眩しさも含まれている気がする。


言われる方は、今すぐ大人になれって言われても無理だろ、そうやって勝ち目の無い戦いを突きつけて勝ち逃げすんな!そんなのは逃げ口上だ!と言う反発を抱くだろう。


しかし現実には理不尽な事が横行し、理屈が通用しない仕組みが多数あり、正義と悪の二元論では片付かない事ばかりだ。

保護者の庇護下から離れ、たった一人で何億人もの他人の中で生きて行かなければならない人生。

綺麗事だけで生きて行くのもアリだが、それはきっと「子供」が想像するより遥かに困難な事。
敢えて困難な道を往こうとする若人には、老人は警告するくらいしかできない。


だから、「大人になれ」と言われても全てを無碍に否定せず言われる事すら拒否したりせず

「自分がまだ知らない世界もあり、そこで生きて行くには対抗する術を用意しなければ」

と自らを奮い立たせてくれればいいな、とおじさんは思うのでした。




余談だが、「子供でいる事を諦めた人間が大人」であると最初に結論付けたが、逆説的に言えば
「何歳であっても保護者(的立場の存在)の庇護を受け、自らの人生を自らの手で管理しない人間」
は、大人では無いと言える。


この手の人間が自身をどう思ってるか、とか周りがどう扱うか(大人と呼ぶか子どもと呼ぶか)は実際どうでもいいんだが、上記した成長の過程と共に自分の人生の手綱を誰がどう握り、そしてそれを自分自身で握りしめていく方法を学ばず育つので、何か「危うい」人間に見える。


そういう人間が居る事が悪だとか善だとか、社会が間違ってるとか正しいとかはどうでも良い。
ただ、そのまま「子供で居続けられ、そしてそのまま死ぬ」なら、問題は無いのだが…
どこかでそれが破綻した時、上記の成長の過程をすっ飛ばしていきなり社会に放り出されたら。
その人にとって、それは果てしない不幸であろう事は予想に難くない。


自分が子供を愛するならば、それはいつまでも子供にし続ける事が親の愛では無く
子供をいずれ独り立ちさせ、自分の事を嫌ってでもいいから「大人になれ」と言い、願う事こそが大事なんだろうな、と思った夜だった。







で。本編に関しては全然触れてなかったので一応。

結構楽しい一冊だった。
久しぶり過ぎたのでどんな内容だったかネットでググったら、結構批判だらけだったので戦々恐々してたんだけど。


  • 寮の先輩達と雑魚寝してる時に、未だに名前の無い先輩が「沢木、何か悩んでんのか」とかそれに対するやり取りだとか
  • 初めて女子と一緒に過ごす夜のくだりとか
  • そんな噂になってそうな女子と一緒に登校して色々勘ぐられてあーだこーだ言われたりするのとか
  • 深く話し合う事無く行き違い、勝手に相手の気持ちを想像したまま憤ったり諦めたり達観しているから起きたスレ違いと、そこで正面からぶつかって無くなるわだかまりとか
  • 子供ってなんだろう、大人ってなんだろう。それに対して分かったつもりで口を開く人間も実際何もわかってないよね、って事とか。


予想してたよりずっと楽しめた。

純潔のマリアとかも随分ご無沙汰だし、最近遅筆っぷりがすごいみたいだけど。
まだまだ純粋に面白いマンガだなーと思った。オススメ。


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